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太陽が空のてっぺんに登る頃。 お昼休みの学校の屋上に一人の少女。 柵に腕をのせてぼーっと、遠くに浮かぶ雲を見つめる。 空はとてもきれいな青。 しかし、青空を見つめる少女は、この空とは正反対の表情だった。 クラス発表の日。かがみにとっては、とても重要な日だった。 …また同じクラスになれなかった。今年が最後のチャンスだったのに… いろいろ手を尽くしたけど、やっぱりダメだった。ショックが大きい。 わざわざ文系まで選んで、可能性を増やそうともしたのになあ… …今年こそはつかさと…みゆきと…それにアイツとも…一緒のクラスになりたかったなぁ… 「はぁ…」 ため息が出る。 どうして私だけ… やっぱり私、ハブられてんのかなあ… 暗くてネガティブなことばかり考えてしまう。 屋上で一人。 何もする気が起きない。 そういえば、今日ご飯持って来てなかったわ…いっか、もう…ダイエットと思えば。 今年こそは、と思っていたのに。 想いが強すぎて、いつの間にかそうなれると勝手に自分の中で思い込んでいたくらいだ。 だからこそ、余計悲しかった。 …冷静に考えてみたら、叶うなんてことあるはずないのにね… かがみは俯いて、ため息をつく。 4人が同じクラスになった時のことを何度も、何度も思い描いていた。 「わ~い!やっとおんなじクラスになれたよ~」「そうね、良かったわ」 大喜びするつかさと私。 「かがみ~!宿題見せて~!!」「同じクラスになってもこれかよ!!」 相変わらず私に宿題を見せてとせがんできて、私に怒られるこなた。 「ここはこうすればいいんではないでしょうか?」「あ~、なるほど。さすがみゆきね!」 私とみゆきが一緒に考えれば、どんな難しい問題でも解けそうな気がする。 そして、4人の楽しい時間がもっと増える。 授業も一緒になるし。 そう思うと、虚しくなってきた。 「どうして…私だけ…」 こんないじけてる所、誰にも見られたくはない。 私は強がりだから…お姉ちゃんだから、弱いとこなんて見せらんないのよ。 それに、こなたになんかなおさら見られたくない。また、からかわれるネタにされるし。 でも… 「…一緒になりたかったなあ」 寂しいー。 神社で熱心にお願いもしたし、先生にも何度もアピールした。 その苦労が全く実らなかった。結局いつもとおんなじ。 それでも、私はずっと期待してた。そんな自分が愚かしい。 「…」 胸がくやしさでいっぱいになる。手をのせた柵を思いきり握りしめる。 「もう…!!なんでよおっ!!!」 それに何やってんのよ私は…もう、なんで、なんで、どうして……!!? ガチャン! 突然、後ろから屋上への扉を開ける音がして、驚いた。 振り向くと、背の小っこいアホ毛が出て来た。あー…今一番会いたくない奴だわ。 どーせ、『こんなとこでいじけてるかがみ萌えw』とか言うんだろうな… やれやれ、とかがみはまた外の方を向いて、こなたに背を向ける。 「かーがみっ!」 「…何よ」 …うるさい。今は一人でいたかったのに。 すごい腹が立ってるし。これから、からかわれるのが目に見えるようでなおさら。 こなたは私の隣に来たが、私は全く見ようとはしなかった。 「どしたの?うちのクラスに来ないの?」 「…」 何も返さなかった。どうやって追い帰そう… 「かがみはまた違うクラスになっちゃったから寂しいんだよね~」 はあ…思った通りのことを言われてため息が出る。 「それで、一人屋上でいじいじしてんの?かがみ、かわい~い♪」 きっとニヤニヤ顔言ってるであろうこなたに、私は怒りを通り越してただ呆れる。…あーあ。 「よしよし」 こなたが突然私の頭を撫でてきた。 「なっ…!や、やめてよっ!!」 やっと、私がこなたに反応したのかちょっと嬉しそうにするこなた。…やっぱりこいつ、むかつく…! 「さびしんぼなかがみw」 「…」 もう何も言い返してやんない。 「ねえ~かがみぃ」 「…」 「かがみさぁ…さびしいんだったら、うちのクラスにくればいいのに。いつでも来ていいんだヨ」 「…」 「たまには素直になったっていいんだよ。私だって、かがみと一緒のクラスになりたかったんだからさ」 「そう、なの…?」 「うん、だからやっぱり私も残念」 …意外だった。こなたが私にこんな優しい言葉をかけてくれるなんて。 そういえば、こいつは人のことを気にかけてくれるとこあるんだよなあ…たまにだけど…でも… 「元気出してよっ!かがみぃ~」 まさか、こなたがなぐさめてくれるなんてね… さっきまでガチガチになってた私の心がほんのり温まってきた。 そして、急な寂しさが襲って来て涙が込みあげてくる。 「かがみはさびしんぼだからね。私たちが一緒にいてあげるよ!」 …おねがい。これ以上言わないで、泣いちゃうから。 目に涙が溜まってくる。私は外を見たまま、必死で泣くのをこらえた。人前で泣きたくない。ぜったいに。 かと言って、手で涙を拭おうとすればばれちゃうからできない。 「ね…かがみ。だから、元気出してヨ!」 と言って私の頭を優しくなでてくれた。 …もう限界。 私の目から涙が、ぽろっと落ちた。 「こなたぁ…」 「…かがみ…?」 「うぅ…ひっく……ひっく…ぐすん……私っ…一度くらいっ、…つかさや、みゆきや…あんたと…一緒のクラスになりたかったよお…」 急に私が泣き出してしまって、こなたは少し慌ててるようだった。 「あ~…かがみ、な、泣かないでよ…」 「…よしよし」 また私の頭をなでてくれる。 優しい。こいつがこんなに優しくしてくれて…余計涙が止まらなくなる。 「よしよし、悲しいよね。かがみ、ずっと同じクラスになりたいって思ってたからね…」 「私…おんなじクラスになって……一緒に授業で考えたり…一緒にグループ発表したり…学園祭の出し物一緒に作ったりしたかった…!今年で最後だったのに…!」 「あーもう…そんなに泣かないでよ、かがみ……もう……よしよし、今日は、目一杯私に甘えていいよ、かがみ」 「うぇえ~ん……こなたぁ~…」 私は、こなたの肩に頭を寄せて泣く。 「黒井先生に一緒のクラスになりたいって頼んだのに…神社で何度もお願いしたのに…」 私は、こなたの小さい体にすがりつく。 こなたはうんうんと相づちしながら、私の背中を優しくさすってくれる。 「ふえぇぇぇん…」 もう我慢なんてできなかった。 もう私は泣くことしかできなかった。 でも、こいつは……こなたは…私の悲しみを全部受け入れて慰めてくれた。 「だいぶ落ち着いてきたカナ?」 「くすん…くすん…、うん…」 「ところで、かがみ…ごはんは?」 「ぐしゅ…あ…今日は……ないんだった…」 「じゃあさ、私のお弁当、はんぶんこしよ!ね?」 そう言って、持って来た包みを出す。 「………ぅん。…くすん、ありがとね…こなた…」 こなたが、自分のお弁当の箱を開ける。 中には、おいしそうなおかずがきれいに並べられていた。こなたの料理の才能はつくづく意外だと思う。 こなたは、お弁当の卵焼きを箸でつまんで、私の前に出す。 「はい、あーんして!」 「ふぇ?」 「ほら、口開けてヨ」 「…………はずかしい」 「誰もいないから大丈夫だって」 「…」 「ほ~ら」 私はちょっとだけ考えて、恥ずかしいけど、そのまま食べさせてもらった。 「…あ…ん…」 ぱく… 「どう?おいしい?」 「…うん。とっても…」 こなたは、私の頭をなでてくれながら、ごはんを食べさせてくれる。 食べさせてもらってる時でも、こなたの気持ちがただただうれしくて、時々涙が出ちゃうんだけど、その度にこなたが、ハンカチで涙を拭いてくれる。 私の中の悲しみがどんどん溶かされていくみたいだった。 やさしい… 普段のこなたと違って、弱々しくなってる私にとても親切にしてくれる。 「ごちそうさま。…ありがと、こなた。こんなにしてもらって、すごい嬉しい…」 「かがみ、もっとお願いしたっていいんだよ…もっと甘えたっていいんだよ!今日は私のサービスデイだからね!何かしてほしいこと、ある?」 「…ん……」 考えてみる。 ふと、私は去年のある日の光景が思い浮かんだ。 しかし、ちょっとお願いしにくいことだったので、他のことを考えてみる…が、他には全く思い付かなかった。 「でも…」 「なんでもいいよ。…言って」 「じゃあ、…………………………………その、ひざまくらとか……だめ?」 私は、こなたの目を見ずに言った。 「…いーよ。はい」 「…うん」 私は、ゆっくりと、こなたのお腹の方に顔を向けながら、こなたのひざの上に頭を乗せた。 こなたのぬくもりを感じる。 静かに、息をはく。 胸がドキドキする。 …とっても……気持ちいい。 「でも、どうしてこれなの?」 「つかさがね…この前、泣いちゃった時、お母さんにこうしてもらって甘えてるとこ見て…うらやましかったんだ… つかさは…素直だから、すぐ誰かに甘えることができるけど…私はさ…こんなだから…誰かに甘えることなんてできなくて……」 「かがみは強がりだもんね」 「うん…そのくせ、あんたの言う通り、さびしんぼでさ…いっつも一人で何でもどうにかしようと思ってたから…」 「そっか」 こなたは私の髪を優しくなでる。とても気持ちいい。 今まで、こんなに優しいことはしてもらったことがなかった。 また、涙が出そうだったので、目をつぶる。 「だからね…例えあんたでも…こうしてくれるの、すごく、安心する…」 「…でも、つかさやみゆきには言わないでね。他の皆の前では…しっかりしたお姉ちゃんでいたいから… あんたの前だけだからね…こんなことするの…」 「…かがみのツンデレ」 こなたは、口元に笑顔を浮かべながらかがみの紫色の髪を梳いた。 私は嬉しくなって、目をつぶったまま、こなたにさらに寄り添った。 「ありがとね…こなた」 「…うん」 今なら言える。素直になれる。 私は弱々しい声で話す。私がこうしているうちは、こなたはすごく優しくしてくれるから。 いつもみたいにからかわれないもんね。…だから、私はそれにめいっぱい甘えちゃう。 こなたが優しいから、こなたが優しく話してくれるから…私はこなたに甘えられる。素直になれる。 こんなに人に優しくしてもらって…幸せ… 甘える…か、 つかさが甘えたがる気持ちが分かるなあ… あったかい… 今日くらい…この小っちゃい奴に…甘えたっていいよね。 後でこれをネタにして、からかわれたっていいや…今は…こなた、すごく優しいんだもん…… 今日は温かい。 屋上で二人きり。 自分より小さい奴に甘えてるわたし。 …いいのよ。 友達だし…それに、こいつの方がちょっと年上だもんね… こなたに気付かれないように腕時計をみる。あと10分だけか…こうしていられるのは。 だからあと少しだけ…いっぱい甘えさせてもらおう… 「ねえ、かがみ…」 「…なあに?」 「そろそろ…いいんじゃない…?」 「え…」 なんで…まだ少しだけ時間あるのに… 「なんか恥ずかしくなってきちゃってさ…だから、もういいよね…?」 …!! どうして…どうして、そんなこと言うの…!? 私の顔がまた悲しい顔に戻ってしまう。 「…いや……!!もっと…このままでいさせてよ…!!」 「…で、でも…」 「こなた、今日だけは甘えさせてくれるって言ったじゃない…!!」 私は離れたくなくて、こなたのお腹にすがりつく。 「…」 「こなたぁ…!」 「…でも、人に見られてるのはさすがに恥ずかしぃよ」 私の動きがピタッ、と止まる。 そしてゆっくりと首を後ろに向ける。 すると、つかさとみゆきが気まずそうに、見ていた。 「…やっ…!!!な!な!!なぁぁ!!」 私は慌てて体を起こそうとした。が、こなたにがっしりと押さえ付けられてジタバタする。 「いっ、いつからいたのよ!!あんたたち!!…てか、こなた離せ~!!」 「え~~?だーってかがみこのままでいさせてって言ったじゃ~ん?」 「あんた、さっきもういいんじゃないって言ったくせに~!!」 どうかしてた!絶っっ対どうかしてた!!!こいつに甘えてるなんて!!!!!! 私はいつも通りに戻っていた。 こなたもいつもの調子に戻って私をからかってくるし… 私はこなたから1メートルくらい離れて座っている。真っ赤になった顔が元に戻らないから、顔を背けている。 「お姉ちゃん、すごい甘えんぼさんだったね…」 つかさがえへへ、と笑う。 「うぅぅ…」 「ごめんなさい…お邪魔してしまいましたね…」 みゆきが申し訳なさそうに笑った。 「違うわよっ!!そんなんじゃないんだからっ!!」 俯いたまま叫ぶ。 「あのね、私たち今日お弁当ないって言ったらね、こなちゃんがお姉ちゃん探しに行くって言ったから…」 「もうすぐ授業が始まってしまいますので、探しに来たのです」 「あ…そう」 「…」 沈黙。 「かがみ~もっと、甘えて~!」 こなたが私に倒れこんでくる。 「うるさいっ!!もういいわっ!!」 「こんなデレかがみ、滅多に見る機会ないからさ~。すんごい可愛かったよ~」 「……!!」 やっぱり今日はさいてーの日だっっ!!! その日の夜 私は自室のベッドに横になった時に昼間の…こなたにしてもらったひざまくらの感触を思い出す。 「はあ…」 ふと息をつく。 「なんで、あんな恥ずかしいことしちゃったんだろう…」 ぼーっとしながら、昼間の出来事を思い出す。たぶんまた顔、赤くなってる。 帰り道、ずっと今日のことをこなたにからかわれるし… なんでそうなったんだっけ…? 確か…そっか。また私だけ違うクラスになってへこんでて… それで… ひざまくらされてる私の情景が浮かぶ。 温ったかかったな… 「ああもう!何考えてるのよ!!」 はっと気付いて、思考を振り払う。 あんまり久しぶりに…ひざまくらして優しくしてもらったから、そう思っただけなのに!! 別につかさやみゆきにしてもらったって… 「…」 あまりはっきりとイメージができなかった。 (なんでかな…こなたは他の誰かと何か違う…?) (こなた、だから…?私はこなただから…こんなに…) 「…!」 また、はっとして、ぶんぶんと頭を振る。 (別に私は、あいつのことなんか… あいつは宿題やらないし、遅刻するし、すぐ私のことからかってきて…) 昼間、優しくしてくれたこなたを思い出す。 普段とは逆に…下から見上げたこなたは…長い髪がちょっとだけ…ほんのちょっとだけ…だけど大人っぽく見えて、 母性すら…ちょっと感じた。 …あいつに母性なんかあるのだろうか。甘えさせてもらったからそう感じてるのかな。 きっとあいつにそっくりの…かなたさんもこんな感じだったのかなあ… 「! もっ…もぉ!…何でこなたのことばっか考えちゃうのよっ!!」 顔に熱が集まってくるのが分かった。 「これじゃまるで…私がこなたに… こなたに… 」 その時、私の頭の中に浮かんできたのは、手をつないで楽しそうに話す私とこなた。 お互いの背中に手をまわして、恥ずかしげに見つめ合う私とこなた。 私とこなたが幸せそうにしている様子が、簡単にイメージができてしまう。 しかし、かがみはもうそのイメージを止めることはしなかった。 「恋……………しちゃったのかなあ……」 赤くなった顔でぽつりとつぶやく。 そう結論を出すと、落ち着いてきて、だんだん眠気が現れてくる。 「こなた…」 この名前を呼ぶと、胸がきゅっとしめつけられる。 そしてそのまま眠りについていった。 その日の夜・こなた 私は、ベッドに寝転がって今日のお昼のことを思い出す。 泣いちゃうかがみ…可愛かったなあ。 私のひざの上で『もっと、このままでいさせて…』とか、 『いや…もっと甘えさせて…!』と言って私にすがりついてくるかがみが… … 「あー!もう!!かがみ可愛いよかがみー!!」 私は顔を赤くしながら、枕をぎゅーっと抱きしめた。 「…かがみぃ……」 今日のことをくり返し思い出すたびに顔がにやけてしまう。 やっぱりかがみはいいな…リアルでこんな萌えさせてくれる人いないヨ…! それから私はずっと物想いにふける。 今日のお昼にあったちょっとした事件。とっても幸せだった事。 ひざまくらしてもらいながら、目一杯私に甘えてきた大好きな女の子のことを。 コメントフォーム 名前 コメント GJ!!b(≧∀≦)b -- 名無しさん (2023-03-14 18 47 35) 甘えんぼかがみはマジで萌えるなw -- 名無しさん (2013-01-30 19 38 07) ふぉぉぉぉぉっっっっ‼‼‼‼! -- 名無しさん (2010-08-10 17 38 26) え、なにこれ、私を萌え殺すつもりなのか?w -- 名無しさん (2010-05-22 23 20 12) 素晴らしい!! 読んでてニヤニヤが止まらない…。 -- 名無し (2010-05-07 08 02 50) デレ全開のかがみに激しく萌えた、ナイス!! -- 名無し (2010-04-27 13 36 32) 母性的こなたに激しく萌えます…EXCELLENT! -- 名無し (2010-04-26 08 47 11) 神、ナイス! -- 名無しさん (2009-08-12 00 45 49) なんだ、ただの神か。 -- 名無しさん (2008-09-29 00 35 43) あなたが神か。 デレデレかがみとそれを包み込むこなた…GJ! -- 名無し (2008-09-29 00 08 00) 優しいこなたに萌えたw -- 名無しさん (2008-06-24 00 50 46)
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…どうも最近こなたが私によく懐いてくる。 前々からその徴候はあったけど、私に合うとすぐに寄ってきてぺたぺたくっついてくる。 悪い気はしないけどね。 …べ、別にこなたのことが気になってるわけじゃないんだからねっ! しかも、最近は以前よりさらに仲良くなってきて、こなたの懐き具合がさらに強くなってきている。さすがにちょっと恥ずかしいけど。 …べ、別に嫌じゃないんだからねっ…!/// 朝。私とつかさが駅でこなたを待っていると、こなたが物凄い勢いで走ってきた。 そして、地面を蹴り、驚くべき跳躍力で跳ねた。 「か~がみぃっ!!」 そう言ってこなたが跳んできたので、私はこなたのサイコクラッシャーアタックを受けとめる。 私の首から鈍い音が聞こえたが、こなたが抱きついてきたという恥ずかしさと嬉しさ(べ、別にこなたに抱きつかれたのが嬉しいってわけじゃないんだからねっ!)で特に気にしなかった。 で、その残った勢いで私達は抱き合ったまま、10mほど転がり続ける。 こなたは体が小さい為、ダメージは全て私が負った。 「おはよっ!かがみ!」 私は朝一番からヘッドダイビングしてきて、私の体を傷だらけにしたこなたに言ってやった。 「おはよっ!こなた!」 こうして私の朝は始まる。 2時限目が終わった後、こなたが私のクラスにやってきた。 「かがみぃ~~!!!」 そう言って腕に思いっっきりしがみついてきた。なんだか腕が「ばきめきょ」という音をたてたが、こなたがしがみついてきたという恥ずかしさと嬉しさ(べ、別にこなたに抱きつかれたのが嬉しいってわけじゃry)で特に気にしなかった。 「かがみ、私宿題やるの忘れてきちゃったの~!見せて~!」 こなたは涙目で私の方を向きながら、お願いしてくる。 「もう!全くあんたは…しょうがないわね~」 私は、自分の腕が『違う』方向に向いているまま、宿題をしぶしぶ教えた。 みさおとあやのがなんだか、私の肩を見ながら心配しそうな顔で見ている。 「こ、これは丸写しってわけじゃないから、いいのよ!それにクラスが違うし、見る先生も違うから大丈夫よ!」と言った。 二人は納得した(ような)顔でその場を去っていった。 昼休み。いつも通り私はつかさやみゆきとお昼ご飯を食べる為に、B組にやってくる。 え?こなたはって?べ、別にこなたと一緒に食べたいからここに来てるんじゃないんだからねっ! 教室に入ろうとすると、こなたが「わ~い、かがみが来た~!」と言って、 なんの助走もつけていないのに、真っすぐ私の方に跳んでくる。 私はこなたを受け止める。なんだか肺がつぶれたような衝撃があったけど、こなたが『飛んで』きたという恥ずかしさと嬉しさ(べ、別にこなたに抱きつかれたのがry)で特に気にしていなかった。 「もう…いつも来てるじゃない」と優しく言いながら、私の体は廊下に飛び出し、 窓をぶち破り、校庭に落ちていった。 それから戻ってきた記憶がないけど、いつも通り、教室で私は後頭部から血を流しながらお昼ご飯を食べる。私の一番好きな時間だ。 つかさとみゆきが、なぜか『可哀想な目』で私を見ていた。しかし、「何かあったの?」「別に」というやりとりだけで終わった。なんなんだ一体。 こなたはいつも通りチョココロネを持ってきている。私はというと、今日はめずらしく私が豪華な弁当を作ってきていた。 こなたがその弁当を見て言った。 「わ~かがみの弁当なのに、すごい豪勢だね!」 「わ…悪かったわね!」 「ねえ~かがみん、今日はお弁当交換しようよ~」 「いやよ。あんたにもちゃんとした『ごはん』はあるでしょ?」 「えぇ~!かがみ~ん。今日だけでいいからさぁ~、おねがいおねがい!」 こなたが私にスリスリしながら言ってくる。 「ちょっ…くっつくな擦りよるな寄り添うな抱きつくな!」 「わ…分かったわよ。しょうがないわね…!今日だけよ!」 結局、私は折れた。 「やった~!だからかがみ大好き~!」 こなたは私の胸に勢いよくしがみついてきた。あばら骨かなんかが粉々になったっぽい音がしたけど、こなたがしがみついてきたという恥ずかしさと嬉しさ(べ、別にこなたがry)で特に気にしてはいなかった。 6時限目、私のクラスは体育の授業で校庭にきていた。 校庭の、ある場所に血溜まりがあったので皆少し気にしているようだったが、 私は特に気にならなかった。どうせ誰かが鼻血でも出したんでしょ。 今日はハードル100m走。はあ…走るのか。後頭部から何か赤いものを流しながら、私は気だるげにそう思った。 なんだか体の調子が良くない。寝不足ね。 そして、私が走る番になった時、 「かがみ頑張れ~~!!」というこなたの声が聞こえた。上を見ると、教室からこなたが叫んでいる。 「は、恥ずかしいから、そんなこと言うなぁっ!!」 私はハードルを跳びながら走り始めたが、もう少しでゴール…という時にハードルにひっかかって転んでしまった。 痛た…こなたに恥ずかしい所を見られちゃったわね。 教室の方を見上げると、こなたが心配してる顔をしていた。 刹那、私の元に…青い髪の少女が舞い降りてきた(…飛んできた)。 私は慌てて受け止めようとする。 そして、無事こなたは着地した。私の体にダブルインパクトをかまして。 それで結構いろいろ喰らったと思うけど、こなたが心配して来てくれたという恥ずかしさと嬉しさ(べ、別にry)で特に気にしてはいなかった。 「かがみぃ!大丈夫っ!??」 「やぁね、ちょっと転んだだけよ。心配しないで」 すると突然こなたは、なんかすごいことになってる私の体を抱き上げ、「保健室に連れてくね!」と言って、私は保健室に連れてこられていた。 こなたはすごく心配している。 「かがみ…!急いで手当てしなくちゃっ!!」 「大げさね…大したことないわよ。それにもう授業終わるから大丈夫だからね。…でもありがと、こなた。心配してくれて!」 「かがみぃ…!」 こなたが抱きついてきた。ぎゅうと強く抱きしめてくる。 私の体のあらゆる箇所が崩れゆく音がしたけど、こなたが抱きしめてくれたという恥ずかしさと嬉しさ(べry)で特に気にしてはいなかった。 私はぐにゃぐにゃになっている腕っぽい腕でこなたを優しく抱きしめた。 ありがとね、こなた。 帰り道。今日はつかさとみゆきは用事があるということで、こなたと二人きりで帰っていた。 なぜか自分の体が歩きにくい気がした。 「…まさか、あんたがあんなに慌てるなんてねぇ」 私はニヤニヤしながら、からかうように言った。すると、こなたは頬を赤く染めながら言う。 「だ…だって、かがみが心配になったんだもん。もし…かがみに何かあったら困るよ!」 「えっ…?」 「かがみ…」 その瞬間、こなたは私の肩をつかんで、道の脇にある塀に思いっきり打ち付けて、ほっぺたにキスをした。 私の体は、まあ、その、なんかいろいろなったけど、こなたがキスしてくれたという恥ずかしさと嬉しさ(ry)でそれどころではなかった。 「かがみ!ずっと…一緒だからね!」 こなたが自分の家の方に走っていった。 私の後ろは、(なぜか)塀が砕けててところどころに赤いものが付いている。 そこで私は思った。 「私…こなたに恋してるのかもしれない…こんなにドキドキするなんて…」 私の影は、見慣れない物体の形を映していた。 その日の夜、ベッドに入っても、こなたのことがずっと気になったままだった。 でも、私はとても幸せな気持ちだった。 「これからも毎日こんな日が続いてくれたらいいな…」 …そうつぶやいて私は眠りについた。 (↑死の意味ではない) コメントフォーム 名前 コメント GJ!笑 -- 名無しさん (2022-12-21 19 45 52) こなた体小さい割に強そう藁 -- 名無しさん (2009-08-20 16 34 47) かがみん いつか 本当に 深い眠りにつきそう… -- ラグ (2009-02-06 12 59 40) ちょっぴり手直ししました。文章自体はいじってませんがw -- 5-974 (2008-12-25 12 49 40) カオスカオスww -- 名無しさん (2008-10-28 14 50 21) かがみのツンデレのレベルがあるかに上がっているwwww 笑い死ぬかと思ったwww -- 名無しさん (2008-06-08 16 47 56) なんかこなたが怖い… -- 名無しさん (2008-05-12 22 11 28) ヤバいw笑い死ぬかと思ったwww -- 名無しさん (2008-03-31 14 11 10)
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かがみありすをお気に入りに追加 かがみありすとは かがみありすの51%はミスリルで出来ています。かがみありすの18%は努力で出来ています。かがみありすの13%は着色料で出来ています。かがみありすの8%はやましさで出来ています。かがみありすの5%は罠で出来ています。かがみありすの3%は陰謀で出来ています。かがみありすの2%は電力で出来ています。 かがみありすの報道 gnewプラグインエラー「かがみありす」は見つからないか、接続エラーです。 かがみありすのウィキペディア かがみありす かがみありすの掲示板 名前(HN) カキコミ すべてのコメントを見る かがみありすのリンク #blogsearch2 ページ先頭へ かがみありす このページについて このページはかがみありすのインターネット上の情報を時系列に網羅したリンク集のようなものです。ブックマークしておけば、日々更新されるかがみありすに関連する最新情報にアクセスすることができます。 情報収集はプログラムで行っているため、名前が同じであるが異なるカテゴリーの情報が掲載される場合があります。ご了承ください。 リンク先の内容を保証するものではありません。ご自身の責任でクリックしてください。
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らき☆すた OVA こなかがEdition ~夢の続き~ 「というわけで、つかさがなんか言ってきたとしても、なんでもないから。分かった?」 「あ~、分かったような、分からないような…」 「分かれ!」 私はそう言って目の前にあるお茶を口に運んだ。 ここはこなたの部屋。昨日寝言でとんでもない事を言ってしまい、あろうことかつかさに聞かれてしまった。 つかさにメールを送られる事はとりあえず阻止することが出来たが、つかさの事だ。 何時いかなるタイミングでその話題を口にするか分からない。 というわけで、先手必勝でこなたに言い訳にやってきたわけだ。 しかし… 私はお茶を啜りながら考える。 本当にどうしてあんな夢を見てしまったのか。 日付が変わった今でも、思い出しただけで本当に腹が立ってくる。 夢に腹を立てるなんて事、長い人生でも少ないだろう。 「ねえ、かがみ。なに怒ってるの?」 その怒りを気づいたのか、こなたがそう聞いてきた。 「怒ってない。」 「え~。その口調、その言い方、すっごい怒ってるじゃん! 私のかがみの仲なんだから、隠し事なんてしなくてもいいじゃん!」 そういってこなたが私の腕をつかんで体を揺らしてきた。 ああ、こなたに言っても分からないと思うけど、 少しだけ…少しだけなら言ってもいいだろうか? そして… 「なんであんたは魔法使い役で、夢の中に出てきたわけ?」 ついこんなことを口走ってしまった。 「はい?」 こなたはそう言って首をかしげた。 それはそうだろう。 怒ってる理由を聞いたのに、魔法使いなんて単語が出れば、誰だって頭にクエスチョンマークが浮かぶ。 それに、私はこなたに夢の内容を話していない。 言ったって分からない。 なのに、どうしてだろうか?私の言葉は止まらない。 「そうよ!なんであんたが『魔法使い』役で、日下部が『王子』役な訳!? 私の夢の中だったら、こなたが『王子』役で出てくるのが当然じゃない。 それが何?魔法使いでやってきて、無理やり日下部の武道会に連れ出して、 ふざけるんじゃないわよ! そんなに日下部と私をくっつけたかったの! 挙句の果てに、無理やりあんな事言わせて! そんなこと言わせなくても、こなたにだったら分かってるでしょ!」 なんていう八つ当たり。 私の夢の中なんだから、私が考え出したお話なのに。 そう、私は私自身に腹が立っている。 あんな事を言わせたこなたにではなく、こんな馬鹿な夢を見てしまった自分自身に。 こなたが王子役じゃないってことは何か? この期に及んで、まだ私は心のどこかで「こなたと自分は相応しくない」なんて思ったりしていたのか? 魔法使い役で出てきたのは何か? こなたと私の関係は、シンデレラと魔法使いのそれと同じとでも思ってたのか? 考えれば考えるほど腹が立ってくる! 私のこなたに対する思いはその程度だったのか! そんな馬鹿なことを思っていると、涙が出てきた。 溢れてくる。止まらない。 そうやって泣いていると、こなたは私を抱きしめて 「ごめんね。」 といってくれた。 ああ、こなたは悪くないのに。 そう思っても、今の私にはそれを口にすることはできず、ただただ泣くことしかできなかった。 「落ち着いた?」 「うん。」 こなたに抱きしめられたまま、どれくらいの時間が過ぎただろう? 5分、いや10分くらいかな? ようやく、私から流れていた涙は止まってくれた。 「なんだかよく分からないけど、かがみが見た夢ってシンデレラ?」 私を抱きしめながら、こなたが私にそう聞いた。 私はそれに対して、黙ってうなずく。 「それでみさきちが王子役で、主役のシンデレラがかがみと。 私はシンデレラを無理やり舞踏会へ連れていく魔法使いと。」 「うん。」 正確には、舞踏会じゃなくて武闘会なのだが、まあそこは言わないでおく。 「はまり役だと思うけどね。私は文化祭でもそんな格好してたし。 ああ、あれは長門のコスプレだから、正確には違うけど。」 「はまり役じゃなくても、王子役はこなたがよかった。」 これは本当。もし王子役がこなただったら、なんだかんだ言いながらきっと武闘会でも何でもいっただろう。 「だから、自分の夢に自分で怒ってたの。こなたに対して怒ったのはただの八つ当たり。ごめんね。」 「これはツンデレのデレだね。」 「ツンデレいうな、それに私はツンデレじゃない。」 こんなやり取りをしてる間も、こなたは私を抱きしめ続けてくれている。 今はこなたの温もりが心地いい。 「んー、結局のところ、かがみとしては、夢の中でのダンスの相手が私だったら良かったんでしょ。 そうすれば、その怒りも解決と。」 「それは…まあ。」 「じゃあ、夢の続きということで…」 こなたはそう言って、私の背中を抱きしめていた腕を元に戻した。 そして立ち上がると、 「魔法使いに無理やり舞踏会に連れてこられたシンデレラですが、やはりそれは面白くありませんでした。」 そんな事を言い始めた。 その間にもこなたはクローゼットに向かい、そしてそれを開く。 中にはゲームやら漫画やらが大量に収まっている。何か探しているようだった。 「なんで魔法使いは舞踏会なんか行かせたがったんだろう? そう思いながらシンデレラは一人家路に向かって歩いていきます。 すると、道の途中のど真ん中、あの魔法使いが立っていました。」 ああ、これはきっと夢の続き。 私が見た夢とは全然違うけど、こなたが見せてくれる夢の続きだ。 「魔法使いはシンデレラが大好きでした。 だけど、ただの魔法使いである自分よりは、素晴らしい才能を持つ王子様のほうが相応しいと考えたのです。 だから魔法使いは舞踏会に参加させたかったのです。 ですが、一人さびしく帰っていくシンデレラを見て、魔法使いはついに決心します。 そして大好きなシンデレラの前に現れて、魔法使いはこういいました。」 そこまで言い終えると、こなたは私の方に振り返った。 帽子とマントを身に着けて。 それは服装こそ違うが、文化祭のときの、そして夢の中での魔法使いだった。 「シンデレラ、王子様とは違い、何のとりえの無い魔法使いの私ですが…」 こなたはそう言うと、クローゼットの前から私の前にやってきて。 「一緒に踊ってくれますか?」 なんてキザな事を言って、私に手を差し伸べた。 やっぱり、こなたにはそんな台詞は似合わないないな。 これじゃあ、小学校のお遊戯会だ。 なんて失礼なことを思っても… 「はい、よろこんで。」 笑いながら手を取ってしまう私は、本当にこなたが大好きなのだ。 らき☆すた OVA こなかがEditionそれぞれの感情 そのソロ狩りの裏側で スポ根の舞台裏 星に願いを 寄り道の夜 コメントフォーム 名前 コメント (≧∀≦)b -- 名無しさん (2023-05-31 16 54 34)
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何気ない日々:想い通う時“親と子” 「あー、もう、本当にかがみと一緒にいるだけだって!切るからね、お父さん」 そう言って、携帯を電源ごと切った。まぁ、確かにそろそろ帰らないと交通手段の問題があるのはわかってるんだ。 私達はまだ、学校近くの公園のベンチに座っていた。まぁ、正しくはかがみがベンチに座ってて、私はそのかがみにじゃれ付いてるだけなんだけどね。何度もお父さんから電話が掛かってくる。その度に、“もう少しかがみと喋っていたいんだってば”って説明するのが面倒くさくなってきてだから、携帯の電源を切った。 「あんた、電源切るのはどうかと思うわよ?」 「だってお父さん、しつこいんだよ。本当は彼氏といるんだろう、もしそうだったらお父さん泣いちゃうからなってさ」 「いや、まぁ、一概には否定できんな、そこは……彼氏というか彼女とは一緒にいるわけだから……ねぇ?」 かがみが真っ赤な顔で俯いて呟く。あの後、私達は夜の教室で指切りをしたんだ、付き合うという言葉とともに。 ある意味、私達は女同士でよかったと思う。だって……こうやって腕にしがみ付いたって誰も見ない、気にしない。男同士だったら、もしかしたら……軽蔑した目で見られるかもしれない。 最も、こうやって腕にしがみ付いていられるのも高校か大学卒業くらいまでだろう。その先は女同士も男同士も関係ない茨の道。私はかがみと今はずっと一緒にいたいと思うし、かがみもそうだと言ってくれる。 でも、人の心は移ろうものだから……三年先、五年先、十年先もずっと一緒にいたいと思っているかなんて誰にもわからない、私やかがみにも……ネ。 「あんた、また先の事……考えてるわね?」 「おや、真っ赤なかがみんや、もう俯いてなくていいの?」 「うるさい!もういいわよ……どうせこれからしばらくは真っ赤になるんだろうから、もう今更俯いて隠しても仕方ないって思ったのよ」 私の額を小突きながら微笑むかがみ。んー、ツンのかがみも良いが……開き直ったデレ状態のかがみはもっと良い……これは、私だけが見れる特権だよネ? 「そもそも、話でもするのかと思えばあんた……ベンチに座ってる私に抱きついてるだけじゃない」 「なんか、しばらくかがみ分不足が続いててネ。その、補給がさ……必要だったり」 「かがみ分って何よ……私は、乳酸菌か何かなのか?全く」 本当は、こうやって幸せな気持ちでいられるのが今日だけなんじゃないかって、お互い家に帰って、明日になったら全てなかった事になるんじゃないかって思ってネ。不安なだけなんだ、押し潰されてしまいそうな胸の痛む不安があるだけ。幸せな気分なのに、この不安はなんだろう。かがみの傍にいられて、しかも想いが通じあってるのに……。 「……!?こなた、ど、どうしたのよ」 「へっ?ど、どうもしてないよ」 頬を熱い雫が流れる。そこでやっと気が付いた……私、また泣いてる。こんなの私らしくないのに、止まんなくて……嬉し涙なのか、不安が零れ出てきているのかわからなくて。 「これって夢じゃないよね?帰って、ネトゲして寝て起きたら夢だったなんて事……ないよネ?」 「夢じゃないわよ……安心していいから、そろそろ帰ろうか、こなた」 「うー、もうちょっとだけ」 「明日も会えるわよ」 わかってるけど、わかってるんだけどサ、不安なんだよ。だって普通に考えたらありえないシチュだしサ?何て事を思っていると、ギューっと抱きしめられた。 私もギューっとしがみつく。首に腕が回されて何か、カチッと止め具をはめる音が聞こえた。 「これ、もう要らないかもしれないけど……一応もらっておいて欲しいわね。センス悪いかもしれないけど、一生懸命選んだのよ?」 それは、私が床に投げ付けたチョーカーだった。でも、やっぱり私には少し大きくてチョーカーにしてはやや余裕があって、付け心地だって見た目だって悪くない。 「その、えと、ごめん……要らない事なんてないヨ。本当は凄く嬉しかったんだ。だから投げたの、すっごく後悔してる。かがみ、許してくれる?」 「いいのよ。喜んでくれたなら、私も嬉しいわ。本当に帰れなくなっちゃうから、今日は帰ろう?」 私が立ち上がると、かがみも同じように立ち上がって涙を拭いてくれた。そして、不意にかがみの顔が近づいたかと思うと耳元で、 「大好きよ、こなた。夢じゃないから、そんな顔しないで」 私の顔は一気に真っ赤になった。これはかがみの役のはずなのに。うぅ、かがみ侮りがたし……なんか悔しかったケド。でも、それ以上に今の言葉に安心して、嬉しさが胸いっぱいに広がった。 ◆ 家に着いたのは九時を過ぎていた。つかさは、不安な表情でぬいぐるみをギューっと抱きしめて、私の帰りを待っていた。 私の部屋に置いてあったイルカのぬいぐるみが、完全に変形していた。結果を伝えると、開放されたイルカ。なんていうかイルカモドキ……かな、これ元に戻るのかしら。中の綿が完全に偏ってるけど。 「じゃぁ、こなちゃんとお姉ちゃんは恋人さんなんだね~、おめでとう!」 さっきまでの不安な表情は何処へやら、にこにことした笑顔で、つかさが言う。本当に祝福してくれてるのが嬉しいなって思う。 「な、なんか、そう言われると恥ずかしいわね。でも、つかさ、まつり姉さんとかいのり姉さん、お父さんにはまだ内緒よ?」 「どうして?」 やっぱりこの子は上手く理解してないのではないかと不安になる。みゆきみたいに上手い説明の仕方が思いつかない、どうしたらいいんだろう。だけど、それでも理解してもらわないといけないわけだから、難しいわね…… 「上手く言えないけど、つかさみたいにおめでとうって言ってはくれないと思うから、もう少し時間が欲しいのよ」 結局、説明にもなっていない。ただの口止めに過ぎない言葉に、つかさは何故か一瞬表情を硬くして、それから普段の表情に戻って、 「う~ん、よくわからないけど、まだ言っちゃダメなのはわかった~」 そう結論を出した。本当にわかってくれているといいんだけど。 「絶対よ?こなたに内緒にして欲しい事を話した時みたいに“めんご”ではすまないと思うから、お願いね……つかさ」 しっかりと目を見て釘を刺しておく。今までもそうしてきたんだけど、つかさは口が軽いわけじゃないけど、質問されるとうっかり答えてしまう事が多いので少々配だ。 でも、それは決して短所じゃないから、つかさを責める事は出来ないし、きっとそんな事を考えてる余裕がない状況になるような気がする、思い浮かべたくは無いけれど……ね。 「う、うん」 わかった!と言わんばかりにしっかりと頷くつかさに少々不安を覚えつつ、私はお風呂に向かった。色々あったし、気持ちの整理のために考え事もしたかったから。 でも、脱衣所には母が待っていた。理由なんかわかってるでも、少し怖かった…… 「かがみ、お風呂上がったら……話があるから部屋に戻る前に居間に寄っていってね」 「うん」 とりあえず頷くだけにした。きっと、帰りが遅かった事で色々と母も思う事、話す事があるのだと思う。本当は母と今日、話をしたくは無かった。もう少し考えと気持ちを整理したかったから。 風呂は命の洗濯なんて、こなたが言ってたっけ。何かのアニメのネタだとも言ってたっけ。あの、海に行った時にやっていた“てもて~”は、結局最後までわからずじまいだったっけわね。 こなた……か。どうして、こんなに好きになったんだろう……なんて理由を考えても意味はない。好きになったから好きになったんだから、それに理由をつけても全て後から付け加えたものに過ぎないのだから。 今、私はこなたが好きだという現実があり、それを考えると胸が熱くなるのだ。そして、私とこなたは親友から恋人へと関係が変わった。昨日よりも一昨日よりもそれより前なんかよりも、ずっと傍に居たい程、好きでたまらなくなっていた。親友という言葉が恋人に変わるだけで私の気持ちは劇的に変化していた―それは、良い事なのか、悪い事なのかわからないけどね。 思いっきり息を吸い込んで浴槽の中に沈む。お湯の中で目を閉じたまま頭を空にした。それから、顔半分だけお湯から出して目を開けてぶくぶくと、子どもの様に息を吐き出して、生まれては消えていく泡を眺めていた。 私は、これ以上何を望んでいるのだろう?少し頭がクラクラしてきたので、口もお湯から出して深呼吸する。それでもクラクラするのは変わらない。どうやら長湯しすぎたらしい、これは湯あたりかも。 お風呂から出てバスタオルで軽く体を拭いて髪を軽く拭いてと何時も通りの行動を繰り返す。鏡に映った私は、やっぱり長湯しすぎたらしく体が赤くなっていた。顔は……恐らく違う理由だと思う、体のどの部分よりも真っ赤になっていたから。 ◆ 「たっだいま~」 元気良く叫ぶが返事がない。居間に行くとお父さんが電話の子機を握り締めてシトシトと泣いていた。うん、まぁ、これだけでもちょっと引くよネ? しかし、それだけじゃないんだよ。“こなたが、こなたがお父さんを蔑ろにして、ついこの前まであんなにお父さん好みのいい子だったのに、かなたぁ、俺はどうしたらいいんだぁ~”って何度も呟いてるんだよ。全く、たまにどっちが子供なのかわからなくなるヨ。 「おとーさん、た・だ・い・ま!」 近くで大声で言うとやっと気がついてくれた。でもさ? 「こなた、通話を切るのはわかるが、電源を落とすのは反則だぞ?」 まず、一言目がこれだヨ。大体最初は五分間隔、次は二分間隔って間隔縮めて一時間に一体何回電話かけてきたと思ってるんだよ。そりゃ電源も切りたくなるってもんだよね?お父さん。 「お父さんが娘を信用しすぎないからいけないんだヨ。彼氏とは一緒じゃない、かがみと一緒だってあれだけいったのに……そりゃ“彼女”とは一緒だったけどさ」 さりげなく口にする。どんな顔をするだろうか、味方になってくれるとは言ってたけど、いざとなったらわからない。でも、好きなんだ……好きで、好きで胸が痛くなるくらい好きなんだ。 「そうか、ならそういえばいいじゃないか。お父さんは本当にこなたに悪い虫がついたかと思ってだなぁ、もう少しでゆいに電話をする所だったんだぞ~?」 お父さん、私……電話がかかってきた回数とほぼ同じだけ、それを言ったはずなんだけど、どうして気がついてくれなかったかな。 「だから、かがみと一緒にいるって言ったじゃん?とりあえず、コーヒー入れるよ。お父さんも飲むよね」 「あぁ、頼むよ」 何時ものメーカーのコーヒーを何時ものカップに注ぐ。お父さんのカップは、お母さんと同じ髪の色で、私のカップはうさぎのワンポイントマークがついたカップ。思えば、このカップは去年の暮れに買ったものだったかな、その時には自覚はなくてもかがみの事、好きだったのかなぁ。 「ふぅ、温まるね。流石に六月って言ってもまだちょっと寒いのに薄着だもんね、たまんないよ」 コーヒーを一口飲んで呟く。そしてコーヒーカップに当たってカチンと金属を響かせるチョーカーの音に愛おしさ感じるんだ。同時に寂しさも感じるけど、学校行けば会えるし、かがみにしがみ付くなんてのは何時もの事だから。 まぁ、実はそんな噂が立った事もあったんだよね。私達がそういう関係なんじゃないかって言う噂。でも、だからといって私がかがみにじゃれ付くのをやめなかったから、自然と消えていったけどね。人の噂も七十五日だっけ?結局、飽きたらそんな噂終わっちゃうもんなんだよね。 でも、これからは違うかもしれない。私とかがみは、その根も葉もない噂通りの関係になってしまったのだから。次は根も葉もある……噂じゃなくて現実。 「かがみちゃんとは上手くいきそうなのか?」 お父さんもコーヒーを軽く飲んでから聞いてきた。 「……わかんないよ。だって今日、そうなったんだからさ」 私らしくない答えだと思ったけど、間違いでもないと思う。そう呟くように答えた時、頬が熱くなるのを感じた。きっと赤く染まっているんだろうなぁ……そんな顔をお父さんに見られているのは、どうしようもなく恥ずかしかった。 「お風呂沸いてるよね?」 「あぁ。しかしだな、こなた。もう少しお父さんとしては話を聞きたいんだが」 お父さんが色々な心配とそれ以外の意味で私に質問したいのはわかっている……けど、今はまだ頭の中が、かがみのことで一杯だから少し考えを落ち着かせたかった。だから残っていたコーヒーを一気に飲み干してから、 「お風呂入ってくるから、後で!」 そういう風に早口で捲くし立てて、逃げるように私は部屋に戻って着替えを持って、脱衣所に向かった。そんな私の後姿にお父さんは、あえて声をかけてはこなかった。つまり、時間をくれるという事だ。 脱衣所で服をぱっと脱ぎ去って、軽く流してから湯船に飛び込んだ。お湯は澄んでいて、まだ誰も入っていないような感じだった。たぶん、お父さんが入れなおしてくれたんだと思う。 「はぁ……」 ため息をついて、大きく息を吸い込んで目を瞑ると湯船に潜る。頭の中に浮かぶのはかがみの事ばかり。怒ったかがみ、寂しそうなかがみ、嬉しそうなかがみ、照れくさそうなかがみ、真っ赤なかがみ。 色んな表情のかがみが頭の中を駆け巡る。そして心臓が湯船中に響くように脈打った。鼓動の音を聞いていると何だか、また凄く恥ずかしくなって顔を半分だけ出して、子供がするようにぶくぶくと息を吐いた。生まれては消えていく泡を見ていたが、息が苦しくなってきたので、顔を全部出して深呼吸。 「なにやってるんだろ、私」 こんなの私らしくないじゃんね?お湯の中から顔を出しても心臓が耳元でなっているようで頬が熱いのは変わらない。 お風呂をでて、すぐにでもかがみに会いたくなった。 もちろん現実的には無理だけど、本当にかがみに会いたくなってしまった。明日になれば会えるんだけど、それでも今すぐ会いたいなんて思う。 でもさ、そういうのはかがみが思う事だと思うんだ、私らしくないんだ。たぶん、かがみは今すぐ会いたいだなんて思ってないだろう、だけど……そっちの役回りはかがみのはずなんだけどな、どこで間違えたんだろう? 「はぁー……」 もう一度ため息を吐く。かがみと私とどっちがお互いを強く好きなんだろう。そんな無駄な事まで考えるなんて本当に私らしくない。 お湯に浸かっていた時、冷えていた体がジクジクして温まっていく感触が現実感を与えてくれる。つまり、今日は現実なんだ、かがみと恋人になれたのは現実なんだ。 “夢じゃなくて、これは現実なんだ” その言葉を何度も何度も頭の中で繰り返した。繰り返せば繰り返すほど、現実感が薄くなっていく気がして不安になったから、やめた。 温まると、頭と体を何時もより丁寧に洗ってからあがった。ちょっとクラクラする、何時もより熱めのお湯だったからだろうか。 体を拭いて、パジャマとその上に半纏を着てから、洗顔も済まそうと鏡を見ると、お風呂で温まったから赤くなったのとは違う感じに真っ赤になった顔をした自分が写っていて思わず顔を逸らした。 お父さんと話をするのはまぁ……いいとしても、この赤くなった顔どうしよう。そんな事を思いながら、私は歯ブラシを手に取った。 ◆ 居間に寄って欲しいと母は言ったのだ、長湯をしたとはいえ待っているだろう。むしろ、父や姉、つかさが部屋に戻る時間だから都合がよいのかもしれない。 相変わらず、私の頬は赤く染まったままだ。表情や顔は言葉よりも人の心を雄弁に語るというわけだ。その所為だろうか、私の頭の中はこなたの事ばかり……でも、これからの不安がないわけじゃない。まず、母との話し合いが不安で堪らなかった。 居間に行くと、座って待っていたのだろう母は立ち上がってコップに牛乳を注いで持ってきてくれた。長湯で熱くなった体には少しひんやりとした物はありがたかった。 「その様子だと、こなたちゃんとは上手く行ったの?」 母の言葉は優しかった。もう、家の皆が知っているのだろうか?それはそれで恥ずかしいがどういう反応をされるのか怖くもあった。 「うん、今日から付き合うことになったわ」 母は、節目がちに一言、“そう”と言っただけ。やはり受け入れるには時間がかかるんだろう、私とこなたが自分たちの想いを受け入れる事に大立ち回りをした変わりに。 「ごめんなさい……」 沈黙に耐えられず、牛乳を一口飲んだ。その後に自然とこの言葉がでた。私が何か悪い事をしたわけじゃない、でもそれはあくまでも“私”にとってだから。家族にとっては大変な事、茨の道を歩くという事はそういう事なんだって気がついたのはお湯に浸かっている最中だった。遅すぎたのかもしれない、それでも気がつけただけマシなのだろう。 「ごめんなさい……」 母は私を見て、困った様な、どうしたらいいのかわからない様な表情を浮かべていた。 何時の間にか正座をしていて、ひざの上に置いた手の上に熱い何かが零れる。最初の一滴を初めにどんどん顎を伝い、そしてそれは雨のように手の甲に零れ落ち続ける。 「ごめんなさい……」 私の口は、勝手に謝罪を続ける。何を謝っているのだろうか?人とは違う恋を実らせてしまった事なのか、家族まで茨の道を歩く事を強要してしまった事なのかわからなかった。 今更だ……だけど、私はこなたが好きで、その気持ちが通じ合ってしまった今はもう後戻りはできないから。だから、謝ることしかできない、それを理解したから私の口は自分の意思を超えて謝罪を続けてしまうんだ。 「ごめ……」 頬に熱い涙が伝っていた頃から目を閉じていたから、急に温かくて少し強めな抱擁に驚いて言葉が止まった。 額に私のそれとは違う雫が零れ落ちてくる。ゆっくりと目を開ると、母の胸に顔を埋めるような感じに抱きしめられていた。そして、母の顔を見上げると、額や頬に雫が落ちてくる……母も泣いていた。 「謝らないで、かがみ。かがみは悪くないのよ……」 “私”には悪くない事だけど、母や父や姉につかさには、良い事じゃないはずだ。ここにいないみゆきにだって迷惑をかけるんだ。 そう思うと涙が倍になって溢れてきた。私は、小さな声で、ごめんなさいを繰り返しながら母の胸に顔を埋めて泣いた。 「お母さん、もう大丈夫だから」 こなたを好きになって、ううん、こなたを好きと自覚する前も合わせて、私は何度涙を流したのだろう。強くならなくちゃいけないのに、私は泣き虫みたいだから、泣いてしまう。 「かがみ、つかさは知っているのね?」 「うん。私やこなたの味方になってくれるって言ってくれた。でもあの子、本当にそれがどういう事なのかわかっているのか、ちょっと不安なんだ」 意味を理解した時、それでもつかさが味方でいてくれるのか怖かった。 「私とお父さんはまだ、同じ結論には辿り着けていないの。それから、まだまつりやいのりは知らないわ」 姉さんたちは知らない、父は反対なんだ。すでにここに茨はある、そんな事はわかっていたはずだ。それでも、足を茨で血に染めても……歩いて行く覚悟を私は決めたんだ。 「それから、よかったわね……こなたちゃんへの想いが実って」 私は、母の腕の中で唖然としてしまった。そういう言葉をかけてもらえるなんて思ってもみなかったから。 「ありがとう、お母さん」 私は、母から離れて、微笑んだ。無理をしたわけじゃない、認めてもらえた事が嬉しかったから。 「大変なのは、これからなのよ……かがみ」 その言葉に、私は残った牛乳を一気に飲み干してから短くでも力強く、 「うん」 と答えて立ち上がり部屋に戻るために居間を出る、母は引き止めなかった。 ◆ 何度か冷たい水で顔を洗ったけど、頬が赤いのは戻らなかった。もう、頬が赤くなってしまったのを戻すのは諦めて、居間に戻るとお父さんが手持ち無沙汰な様子だった。らしいといえばらしいけど、もう少し空気読もうよ、お父さん。 「お風呂上がったよ、お父さん」 そう言ってから私はお父さんの正面に座った。特にお父さんは何も行ってこなかったが、部屋に戻れる空気でもなかった。 「色々聞きたかったんじゃないの?」 そう声をかけると、腕を組んで顎をさすって何かを考えている様子だった。何かを考える時、お父さんは決まってそうするからわかりやすいんだよね。 時計に目を向けると十時半を過ぎていた。私にしては珍しく一時間以上お風呂に入っていたらしい。そりゃ、手持ち無沙汰というか、待ちくたびれるわけだ。それでも考えは纏まっていない。ゲームみたいに場面が変わったらさくっと考えが纏まっているなんて虫のいい話は現実にはないんだ。 「うーん、こなたの印象でいいんだが、かがみちゃんとは上手くいきそうなのか?」 私の印象かぁ、上手くいけると思うんだけど、それがずっと上手くいくかどうかはわからない。 「今の所は上手くいけそうだよ」 お父さんは唸るのをやめた。 「一応先のことも考えてるんだな、人の気持ちがずっと変わらないってのはないっていう事について」 心配しているのはそこなんだね。普通、娘が同性と実際に恋仲になった事を心配するもんだと思うけど。 「うん、それはわかってるよ。というより、それをわかっていたのはかがみだったけどさ。かがみは、先の事はわからないけど、今は私が好きだから。その気持ちを抑えられないんだって。この先もお互いずっと好きでいられるかどうかなんてわからないって教えてくれたよ」 人の気持ちは移ろうから、ずっと好きでいられるかなんてわからない、私もかがみも。もちろん、この恋が後に気持ちが移ろい、私やかがみが別の人を好きになった時に障害になる可能性だって少しは理解している。 「そうか、今は……か。そうだな、人の気持ちは移ろうからな。もしそうなった場合、後が辛い事も多いと思うが、わかった。しかしなぁ、いざ、こういう現実が来ると、お父さんもまだ味方になりきれると断言は難しいな。でも、敵にはならないから少しだけ時間をくれ、こなた……すまないな、頼りない父親で」 肩を落として、節目がちにお父さんが言う。こういう現状を目の当たりにして、すぐに答えを出すのは無理だっていうことはわかってるよ。 「きっと、お母さんなら……反対したよね」 ふとそんな言葉を口にしてしまう。その言葉にお父さんが反応して口を開いた。 「どうかな、かなたなら娘が幸せになる事を望んでも反対はしないと思うよ。俺なんかよりずっと決断力があるから、スパーンっと答えを出してると思うな」 お父さんは遠い目で仏間の方向を見ていた。お母さん、貴女は、私とかがみの事どう思ったかな?もう聞くことはできないけれど、それが出来るなら聞いてみたいと思った。 「お父さん、私そろそろ、部屋に戻るね」 「あぁ、すまないな。すぐにこなたの味方になってやるって前に言ったみたいに決断できなくて」 「私こそごめん。普通の恋ができなくて……ごめんなさい。じゃ、私、部屋に戻るね」 そう言って私は自分の部屋に戻った。その背中にお父さんは声をかけては来なかった。だから私も足を止めなかった。 部屋に戻ると迷惑も考えずにかがみの携帯に電話をかけた。あの土曜日の雨で壊れたけど、丁度換え時だったから、日曜日に換えたらしい。 まぁ、携帯が換わったといっても同じ機種で同じデザインの物をかがみのおばさんが換えに行ってくれたらしいんだけどね。だから、もうかける事ができる。 とにかく、かがみの声が聞きたかった。まだ不安だったから…… ―これが夢じゃないんだって、確信が欲しかったんだ コメントフォーム 名前 コメント 号泣したー!GJ -- 名無しさん (2009-08-25 20 19 18) このシリーズの今後は目が離せないです。続きがんばって下さい、待ってます。GJ -- kk (2009-04-30 11 47 20) 投票ボタン(web拍手の感覚でご利用ください)
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《邪神 かがみ(055)》 キャラクターカード 使用コスト2/発生コスト2/緑/AP20/DP20 【制服】 このカードは、「邪神 かがみ」のコストとして使用する場合、発生コスト+1を得る。 このカードは、自分の「月読 鎖々美」がいる場合、+10/+40を得る。 (私は人間になりたかった……愚かで弱くて、けれど温かい人間になりたかったのです。) ささみさん@がんばらないスターターデッキで登場した緑色・【制服】を持つ邪神 かがみ。 邪神 かがみのコストにする時に発生コストが1増える効果、月読 鎖々美がいる時にAPが10・DPが40上昇する効果を持つ。 邪神 かがみ専用の実質発生コスト3のカード。 このカード1枚でコスト3以下の邪神 かがみを登場させることができる。 手札コスト、ポイントコスト関係なく効果を使えるため、腐ることは少ない。 また、月読 鎖々美がいれば実質AP30・DP60のキャラになる。 コスト2としては圧倒的なステータスとなるので、なるべく条件を満たしたい。 《月読 鎖々美(003)》《邪神 つるぎ(031)》《邪神 たま(074)》とサイクルをなし、共通したソース増加、誘発強化を持つ。 通常、サインカード共にスターター限定カード。 カードイラストは描き下ろし。フレーバーは第7話「声の出し方忘れた」でのつるぎのセリフ。 関連項目 《月読 鎖々美(003)》 《邪神 つるぎ(031)》 《邪神 たま(074)》 収録 ささみさん@がんばらないスターターデッキ 01-055 サインカード 編集
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膝の上に座って視線を合わせようとすると、ぷいっとそっぽを向かれた。 耳まで真っ赤に染まっている事から照れているのはわかるのだけれど、納得はできない。 頬に手を当てて無理矢理こちらを振り向かせようとする。 精一杯抵抗する首筋は、細くて、綺麗で、 なんとなく、その、白い首に、見惚れてしまった。 それで力が弱まった為か、どうした? と心配そうな顔でようやくこちらを向く。 向いてくれたのは嬉しいのだが、見惚れていた恥ずかしさもあって、咄嗟に頭を伏せる。 偶然――いや、本能かもしれない――頭はかがみの鎖骨のあたりに埋まって。 慌てて引きはがそうとする腕に逆らうように抱き着く。 何分そうしてたかは知らないが、ようやくかがみは諦めて、優しく抱き返してくれた。 それがとても嬉しくてなんとなく顔を上げる。 かがみの顔はやはり真っ赤で、それでも微笑んでいた。 ぷつん、と何かが切れてそのまま顔を上に持ち上げ―― 「なんなのよ、もう」 怒っているような口調とは真逆の柔らかい声。 それをあえて躱すような形で「なんとなく」と返す。 じとりと睨んでくるかがみにもう一回キスをして、答えた。 「大好きだよ」 気恥ずかしくなって、それでも膝の上から離れることはせずに、 かがみの首筋に顔を埋めた。 コメントフォーム 名前 コメント GJ!!(≧∀≦)b -- 名無しさん (2023-02-24 13 16 58) おぉ~、文上手いな GJ -- 名無しさん (2008-05-25 22 26 38) 筆者は文語調の妹小説書いたことあるだろw -- 名無しさん (2008-04-20 02 00 06) これはイイ!! キュンキュンしたw -- 名無しさん (2008-04-19 23 39 24)
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お昼休み。私達はいつものように4人でお弁当を広げていた。 うん、お弁当。今日はチョココロネじゃないのですヨ。 「もぐもぐ・・・」 「どう、こなた。おいしい?」 「おっ、また腕を上げたね。とってもおいしいよ、かがみ」 「よかった~、味付け不安だったけど、大丈夫だったみたいね」 「よかったね、お姉ちゃん」 わたしの心からの即答に、神妙な面持ちだったかがみの表情が明るくなった。 そう、今日のお昼はかがみお手製のお弁当。 わたしとかがみがお互いの気持ちを伝え合った────恋人になったあの日から しばらくして、時々作ってきてくれるようになった。 当初はチョココロネばかりじゃ栄養が偏ってよくない、とまぁかがみらしい言い訳を していたけど、最近はそんなこと言ったのを忘れてるくらい入れ込んでるみたい。 もちろん、わたしにとっては嬉しいことだったし、拒む理由は微塵もない。 味のほうはまだまだ普通なんだろうけど、腕が上がってきてるのは確かだし、かがみん補正で どんなもんでも美味しく感じちゃう。わたしも染まってるなぁ~。 「お姉ちゃん、最近がんばってるもんね。突然、料理のこと教えて、って言われたときは びっくりしたけど」 「まぁね。このままずっと下手のままでもいいかって思ってたくらい、料理に興味なかったし」 「だよね~。あのかがみがね」 「何か言ったか?」 「イエイエ、気のせいですヨ?」 「よっぽど泉さんのこと想っていらっしゃるんですね。ほら、想いは人を動かすといいますし」 「うんうん、特に料理は心込めて作るのが一番だよ」 「ちょ、ちょっと。みゆき、つかさぁ・・・」 「こなちゃんも嬉しそうだね~」 「愛情いっぱいの手作り弁当、そして照れるかがみん、なんて萌えるシチュエーション」 とうっ! 箸をおいてかがみんへダイブ。 「こら、抱きつくな! 場所わきまえろって……。ほらほら、馬鹿なことやってないで さっさと食べなさいって。なんなら私が代わりに食べてやろうか?」 「あぁん、そんな殺生な~」 言われなくともっ、と席に戻りほおばる。って、なにじーっと見てるんですかかがみさん。 つかさにみゆきさんがなんとも生暖かい目で見てるよ。 「微笑ましいですね~」 「そうだね~」 教室は今日も騒がしい。以前とちょっと変わったわたしたちの掛け合いも 周りからは相変わらずの風景と思われてるようで、とりたてて気にかける人もいない。 相変わらずといえば、つかさとみゆきさん。二人とも、わたしたちの関係を知っても 同じように接してくれる。今みたいに、ちょっとひやかされたりもするけどね。 ────それは、少し前の放課後。 めずらしくみゆきさんに、「どこかでみんなでお茶しませんか?」と誘われたので、4人で 学校近くの喫茶店へ。 注文を一通り頼むと、みゆきさんが口を開いた。 「実は……その、ですね。泉さんとかがみさんにお尋ねしたいことがありまして。 個人的なことですし、もしかしたら勘違いでとんでもなく失礼かもしれないのですが……」 「ん~、なになに? どんと聞きたまへ」 「みゆき、どうしたの?」 「えっと、ですね……」 目をそわそわさせて、なにか躊躇ってたみゆきさんだったけど、意を決したのか私達の方を 見て続けた。 「その、お二人は……お付き合いをなされてるのでしょうか」 「えっ? ええええええっ!!」 一番びっくりしたのが図星を突かれたわたしたちではなく、突拍子な話をいきなり聞かされた つかさだったのは、まぁなんというか。 とりあえず落ちついてください、とみゆきさんに宥められている。 苦笑しながらかがみと顔を見合わせる。 「あはは、流石みゆきさんだね」 「ふふ、そうね。やっぱり気づいちゃってたかー」 本当はしばらく隠すつもりだったけど、やっぱ後ろめたい気持ちもあり、どうしようかと かがみと悩んでた矢先だっただけに、みゆきさんが先手を買ってでてくれた形になった。 「あまり詮索するのはよろしくないと思ったですが、何かよそよそしいというか、私と つかささんに遠慮されている感じがしまして……」 「そっかぁ。普通を装ってたんだけど、それがかえって変だったかな」 「まぁこなたが普通って、ある意味変だし」 「……容赦ないね、かがみん」 「結構前から薄々はそんな気はしてましたよ。お二人が一緒のときはとても嬉しそうでしたから。 でも、最近の異変に気づいたのはつかささんなんですよ」 「へっ、つかさが?」 ちょっとびっくり、という感じでつかさを見た。うん、とうなづきながら、 「最近のお姉ちゃん、お家で難しい顔してることがあったし、こなちゃんも学校で ぼーっとしてること多くなかった?」 「そういわれると、そうねぇ。どうしようか考えてたりしてたから」 「わたしの場合はただの寝不足な気もー」 「あんたは……」 「寝不足だったら、こなちゃん我慢しないで眠りしちゃうでしょ。それとは別に、起きてんだけど 授業中とか外眺めてたりとか」 「へぇ~。あんたでもそんなセンチメンタルな気分になるのね」 「ひっどぉ~わたしを何だと思いかっ」 「ごめんごめん、こなたのそんな姿ってなかなか想像つかなくてっさぁ」 ぷぅー、とふくれてるわたしをかがみがよしよしと撫でてくれる。きもちいいなー。 つかさがニコニコしてこっちを見ている。 「ほんとうに仲いいよね~。よかったぁ。まさかとはおもったけど、ケンカとか しちゃったのかなって。それでね、ちょっと心配でゆきちゃんに相談乗ってもらったの」 「それはいくらなんでもないっしょ。意外なことは気づくのになー」 「まぁ、つかさなりに心配だったんだろうけど。私とこなた、いつも一緒にいたでしょうに。 ケンカしてる相手と四六時中いるほどお人よしじゃないわよ?」 「あはは、そうだね~。でもお姉ちゃんとこなちゃんが付き合ってるなんて、ゆきちゃんも 言ってなかったし、びっくりだよぉ~」 やっぱつかさはつかさだなぁ。鋭いのかやっぱり鈍いのかよくわからないヨ。 でー、とかがみが改めてみゆきさんのほうを見て、 「つかさに相談されて確信した、と」 「えぇ。確信はあったのですが、やはり万が一ということもありますし。お二人から 話してくださるまで私の心の中に留めて置くつもりでした。でも、つかささんではないのですが、 改めてお二人の様子を見ると私も心配なってきてしまいまして。すみません、答え難いことを お聞きしてしまって……」 みゆきさんがとても申し訳なさそうにしてるので、あわてて答え返した。 「いやいや、謝らなくていいよ。いずれは話すつもりだったし、むしろ切っ掛けを作ってくれて 感謝、って感じかな。ね、かがみ」 「そうね。どう切り出したらいいものかずっと悩んでたし。気にしなくていいわよ、みゆき」 「そうですか……ありがとうございます」 「心配かけちゃってごめんネ、二人とも」 「いえ、予感はいい方向で当たってたましたから。お二人とも幸せそうで何よりです」 「うんうん。おめでとう、お姉ちゃん、こなちゃん」 …………って、あれ? 「いやいやいやまてまて。その前に疑問はないのか?」 かがみもおかしいことに気づいたらしい。 「え、なんでしょう?」 「いや、だからその、わたしたち女の子同士で付き合ってる訳なんだけど」 「うん、そうだね~」 「それが、どうかしましたか?」 「あー……うん。つかさがそんな反応しそうなのはわかるんだけど」 こなちゃん、さりげなぐひどいこと言ってる、とつかさが抗議してるがとりあえずおいといて。 「みゆき、本当に変だと思ってないの?」 「ええ」 一呼吸置いてからみゆきさんがつづけた。 「お二人の恋愛がこの国で必ずしも祝福されるものとは言えないのは承知しています。 それでも頑張ってる方はいますし、世界に目を向ければ決して稀なことでもありません。 もちろん茨の道ですし、厳しい事が多々待ち受けてると思います」 うん。決して手放しで喜べる関係じゃない。 お互いがどうしてもあと一歩踏み出せなかったのも、これが理由の1つなのは 違いなかったし。もちろん、それだけじゃなかったけど。 「でも、お二人でお決めになさった事ですし」 それでも、勇気を出して告白しあったんだよ。 「泉さんもかがみさんも、心からお互い好き合っているのですよね?」 想い、通じ合えたよ。 わたしの思ってるが読み取れたのか、いつものほんわりとした表情でみゆきさんが応えてくれた。 「それなら、私は親友として、お二人を影ながら応援させて頂くまでですよ。つかささんも そうですよね」 「うん! 難しい話はあまりよく分からないけど、お姉ちゃんとこなちゃんに幸せになって欲しいな。」 つかさも持ち前の笑顔で言ってくれた。 「つかさ……みゆきさん……」 「ありがとう、二人とも」 様子を察して心配してくれて、うまれたての、でも女同士という奇特な恋、それでも 祝福してくれるふたりに胸の奥がほっこりする。 はは、ちょっと視界が曇っちゃたヨ。ここは一つごまかすために……。 「あー、かがみん涙目~」 「な、何いってんのよっ。あんたこそ普段ありえないくらいうるうるさせてるじゃない」 「気のせいだヨー」 しばらく見合ってたけど、あまりにベタ過ぎて、おもわず笑い出してしまった。 つられてかがみも、様子を見てたつかさとみゆきさんも笑い出した。 「そうだ、ふたりとも」 「はい?」 「な~に、こなちゃん」 「これからも、今までどおり接してもらえるかな?」 「周りにあまり感づかれないようにですか?」 「んーん。変に気使われるのも恥ずかしいしさ。それに、この4人での空気は大事に したいなぁ、って。かがみは一番大事だけど、それに負けないくらいつかさやみゆきさんも 大切な友達だからね」 「そーゆーこと。改めて言うのも変だけど、これからもよろしくね」 わたしたちからのお願いに、二人は顔をちょっと見合わせてたけど、すぐに答えてくれた。 「言われずとも、もちろんですよ。これからもよろしくお願いしますね」 「うん、当然だよ。嫌だっていっても一緒だからね?」 「あ、もちろんご用事の際は遠慮なく言ってくださいね」 「そうそう、お邪魔しちゃ悪いからね~」 快い回答とともに表情はちょっとニヤニヤしてる。や、やるなー……。 まぁ、これぐらいは親友の特権ということで。 またどこからとなくわたしたちの間に笑いがおこる。和やかな空気。 この空気を壊さずにすんでよかった。 ありがとう、つかさ、みゆきさん。 ────かがみの"手料理"を食べながら、ふとこないだのことを思い出していた。 「そういえば、あんた今度の休み、暇?」 「んー?」 呼ばれて、我に戻って返事をする。 「もしよければ買い物に付き合って欲しいんだけど。あ、嫌ならいいのよ」 「ほうほう、デートですか~」 「で、デートってそんなんじゃぁ…」 「えぇっ、ちがうのー? これってデートのお誘いだよね、つかさ、みゆきさん」 「そうですね。泉さんとかがみさんは恋人同士なんですし、デートだと思いますよ」 「そうだよー、お姉ちゃん。素直になろうよ~」 「ほらほら、二人もこう申しておりますヨ」 集中砲火でかがみがゆでだこよろしく真っ赤。 ツンデレっぷりもさえてるし、ほんとかわいいなぁ。 「うっさい! …んでどうなのよ、いけるの?」 「かがみとならどこでもばっちこーい。あ、でも今度の休みは確か先約があった気が……」 「あらまぁ」 「残念~」 いやいや、かがみが残念がるなら分かるけど、なぜそこの二人もそんなに暗くなってるの。 「あんたが用事とは珍しいわね。また何かのイベントか?」 「ん~・・・あ、思い出した。ネトゲ仲間との約束だった」 「ちょ、ネトゲかよっ!」 「いやね。ここんとこかがみとの時間を大事にしてたから、休みとかもあんま繋いでなくてね。 わたしはそれでも全然かまわなかったんだけど。こないだ久々に入ってたらさ、たまには どーよ、と。まだ特に用事もなかったし」 「まぁ先約じゃ仕方ないわね」 「でもいいや、あっちはキャンセルするよ。わたしもかがみといるほうが楽しいしさ」 「いいわよ無理しなくっても。それにいくらゲームといっても相手に悪いじゃないの」 と口ではいってるけど、がっかりしてる感がみえみえデスヨ、かがみさん。そこまで ツンデレなくていいって。 「ううん、かがみ様が最優先事項だヨ? リアルが最優先、みんなそうだしね。つい こないだまで逆だったわたしが言うのもなんだけど。それに……」 耳元で、かがみにだけ聞こえる小さい声で──── ────なにいってんのよ、馬鹿…… 「お姉ちゃん、顔真っ赤だよ~。こなちゃん、なに言ったの?」 「それは、秘密です」 どっかの誰かのような口真似でごまかしたけど、わたしの顔も多分真っ赤だ。こんな台詞、 かがみ以外には聞かせられないヨ。 「そゆことで、かがみんにお付き合いするよ~」 「ほんとにいいの?」 「もちっ」 「ふふっ。ありがと、こなた」 かがみとっても嬉しそう。わたしもしあわせな気分になる。 すると、目で合図してきたので、もちろんとうなずく。 「で、つかさとみゆきも一緒に行かない?」 「えっ、お姉ちゃん達デートじゃないの?」 「そうですよ、お二人のお邪魔したら悪いですし」 「いいのいいの。私達は一緒にいられればそれで十分だし」 うん。心が通じ合ってるから、それだけで幸せになれるんだよ。 「どうしても二人っきりでどっか行きたい時はわざわざ人前で言ったりしないわよ。 それこそただの惚気じゃない」 「さっきまでのも十分のろけだと思うよー」 「そ、それは……その……」 つかさがどんだけー、といいだけだ。図星つかれてかがみんたじたじ。 「かがみははっきりデレるようになったからねー。わたしは以前とあまり変わってない気が するんだけどネ」 「泉さんも変わられましたよー。以前は結構茶化してごまかすこととか多かったですし。 最近はきちんとかがみさんの気持ちに応えてあげてますしね」 「うんうん、こなちゃんのほうが変わった感じするよ。ほんと、お姉ちゃんのことが 好きなんだね~」 うぉっ、地雷踏んだか。みゆきさん、表情はニコニコなのに発言えぐいデス。つかさも 追加攻撃してくるし。 じゃれあうのは慣れてるけど、こういうのはとても恥ずかしいヨ。 「ヒヒヒ、たまにはこっ恥ずかしい思いしなー。んで、二人ともどうする?」 「それじゃ、せっかく誘っていただいてますし。ご一緒させてもらいます」 「うん、私も行くよ~」 「よし、んじゃ今度の休みは4人でパッーと遊ぶかっ」 「らじゃぁー」 「それに、お姉ちゃん達見てると楽しいし。ね、ゆきちゃん」 「そうですね~」 「今度はどんな惚気を見せてくれるのかなー」 「私達はオチ対象かっ! こなたも何か言ってやんなさいよ」 「えー、わたしは別にかまわないし~。かがみんは照れ屋さんだもんネ」 「さっきまで真っ赤にしてたヤツの台詞か!!!」 今日もいつもと同じように時が流れてく。 いや、やっぱちょっと変わったかな。 わたしとかがみの関係がちょっと変わったように、お昼ごはんがチョココロネから お弁当に変わったように、わたしたち4人の関係もすこし変わったかな。ずっと 同じままなんてありえないしね。 でも、親友であることは変わらないし、これからもずっと変わらないと思う。 みんながそう望んでいれば、きっと大丈夫だよね。 そして、かがみの恋人であることも、ずっと。 あ……でも、こっちは変わってほしいかな。もっとより進んだ関係に、ネ。 コメントフォーム 名前 コメント GJ! -- 名無しさん (2022-12-21 12 08 22) 恋人同士になっても、いつもの延長に居れる4人全員に萌えた!GJです! -- 名無しさん (2010-04-14 22 17 19)
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(管理人注:こちらの作品には鬱要素等の表現がございます。そのような展開や描写が苦手な方はご注意ください。 詳しくは作者さんの発言こちらをご覧ください) 【第1話:二つのほくろ】 私は誓います。 こなたは私のものです。永遠に私のものです。 ビッグバンの前から宇宙が終わって次の宇宙が始まっても私のものです。 たとえあなたの場所に行っても、こなたには私の名札がついてます。 もしあなたが24時間365日背後霊でついていたら、私はこなたに25時間366日つきます。 もしあなたがこなたを呼んでも、私はあなたより大声でこなたを呼べます もしこなたを幸福な天国へ連れて行くのなら、私はこなたのために現世で天国をつくります。 もしあなたがこなたに母親としての愛情を与えるなら、私は来世でこなたの母親になってあなたより愛情を与えます。 。 もしあなたがこなたを無理やり連れて行ってしまったら、私も無理やり居候として一緒にいます。 もし私達が生まれ変わり、互いに相知らない存在になるなら、私はこなたの体の奥深くにひそむ未知の細胞に生まれ変わります。 もし生まれ変わりもなく、天国も地獄もなく、あなたがただの幻で 死ということが、単にこの宇宙から消え去るだけのことならば 私達は笑顔で同時に…… 「徹夜でコミケに並ぶのは邪道だよね~。常識ある人間なら始発だよね」 「いやいや常識ある人間はそもそもコミケなんてものにはいかないから」かがみはただちに突っ込む。 こなたとかがみ、つかさはゆりかもめに乗っていた。 午前5時、すでに車内はまるでラッシュアワーのように客でぎゅうぎゅう詰めであった。 「そもそもなんでこの人たち、みんな同じかっこうしてるの……」 つかさはかつてのトラウマに震えていた。 「地味なチェックのシャツとしわだらけのGパンとメガネとリュックor紙袋たまにバンダナと指ぬき革手袋はヲタクの指定制服みたいなものだよ」 「う……カートの角が当たる」 「もっとも、最近は秋葉がマスコミに露出して一般人に染まり出し そのせいで妙にファッショナブルな邪道があらわれだしてこま…る」 モノレールが揺れ、こなたはふらついた。「おっととと…」 「ちゃんと手すりにつかまってなさいよ…どうしたのこなた」 「……」かがみはこなたの目がうつろになっているのに気づいた。 「どうしたのよ、酔ったの?顔色悪いわよ」 「……いやいや、最近貧血気味なんだよね…ときどきフラフラするんだ」 「毎晩深夜アニメ見てるからよ…ほとんど寝てないでしょ。録画かニコニコにすればいいのに」 「いやいや、実況や放送直後の感想書き込みが……ニコニコはあくまでリアルタイムのように見せかけているだけで 真の実況とはやっぱり別物だしね。それにすぐ削除されちゃうし」 「うー…」こなたは手すりによっかかった。 「やっぱりちょっと寝不足かな、熱もあるんだよね少し」 「体調悪いのに、常識人ならこんなところ来ないで家で寝てるわよ」 「いやいやコミケだけは別だよ」 「あんたね…」 「あれ?」つかさは気づいた。「こなちゃん、ほくろが2つあるよ?」 「え?」こなたは窓ガラスに映った自分の顔を見た 「ほんとだ、2つあるね」 「ほくろって…増えるの?こなちゃん」 「さあ、でもこれは新しい属性が生まれたと考えればいいねー」 こなたはにんまりしながら新しいほくろをナデナデした。 「ちょっとこなた、その手…」 かがみは気づいた。こなたの手の甲に、同じようにポツポツとした点のようなものが多数広がっているのを。 「これもほくろ?」 「ん??」 こなたは腕を回した。手のひらのほうにも赤いポツポツが広がっていた。 「ああ、これ、二・三ヶ月前くらいからあるんだよね。足にもあるよ、ほら」 両足の膝から太腿にかけて、ボールペンでさしたような1ミリ前後の赤い点が無数に広がっていた。 さらによく見ると、斑点だけでなく青黒いあざが体のあちこちにたくさんあった。 「こなた、それ、階段からでも落ちたの!?それともなんか変なもの食べたんでしょ」 「まさか、かがみんじゃあるまいし。んー、蕁麻疹?なんだろ?変なものは食べてないんだけどね。 まあ痛くもかゆくもなんともないし、そのうち治るでしょ。ま、いまはそれよりコミケが優先だよ」 モノレールはやがて運河を渡り、有明地区に入った。テニスの競技場が車窓を流れた 「うう……」 こなたの顔色がいっそう悪くなった。 「ちょっとあんた大丈夫?次で降りたほうがいいわよ」 かがみはこなたの額に手を当てる。……少し熱い。 「大丈夫だよかがみん、一駅くらい我慢できるし」 その言葉とは逆に、こなたは手すりに身体を目いっぱいもたれさせながら、ハアハアと大きな呼吸をしはじめた。 「こなちゃん、やばいよ、休んだ方がいいよ」 「次は有明か…まあ、待機列の位置まで…歩いてもたかが知れてるし。降りちゃおう……」 ドアが開いた。大量の乗客が駆け足で降りていった。 駅が小さい分ラッシュアワーの新宿駅を越えるほどの人いきれが構内を包んだ。 こなたは駅のベンチでぐったりと座った。ゼイゼイと息を荒げて、声を出すのも辛そうなようすだった。 「なんだろこれ、目が回る。気持ち悪い…」 かがみはペットボトルのお茶をこなたに渡した。 「ほら、ゆっくり飲みなさい」 こなたは手にペットボトルを持ったままうつろな目をしていた。 「……吐きそう、頭がいたい」 「トイレ行きましょ、ほら」 「うー、かがみんおんぶしてー」 「なっ!!」 かがみは一瞬ドキリとした。 しかし、どうみてもこなたは一人で歩けないことになっているのは明らかだった。 「しょ、しょうがないわね、……ほら、おんぶしたげるわ」 「いやーすまんねーかがみん」 こなたはいつものように目を糸目にして甘え声を出した。 しかしその甘え声にいつものように力が入ってないのをかがみは感じた。 「ねー」 「なによ」 「このままさー、もし」 「さっさと言いなさいよ、重いんだから」 「私が、死んだらどうする?」 「へ?」 「だから、私が死んじゃったらさ」 「何言ってるのよ」 「かがみん泣いちゃうだろうなあ」 「はあ?」 「ケータイ小説みたいにさ、変空だっけ?」 「……こいそらでしょ」 「やりながら私を置いて死なないでとか叫んでさ」 「……。落とすわよ」 「どうどう、かがみん、たしかそんな話だったような気がするんだよね? あれちがったかな?イケメンが闘病しながら四十八手を極める話だったような…まあいいや、とにかくスイーツ(笑)」 「私は馬か!いきなりスイーツとか意味不明だし!」 こなたを有明駅のトイレに入れて約10分─── 「いや~みんなおまたせ~」 こなたはさっきとは打って変わってすっきりした顔でトイレから出てきた。 「いやーすまんすまん、ちょっとえずいただけ。心配掛けてごめんかがみん~」 駅の階段を下りて、外に出る。すぐ先にあるりんかい線の駅前方面への信号待ちをしている人々でごった返していた こなたはかがみの背中に抱きついた。 「……なによ」 「いやさ、かがみんの背中あったかくてさー」 「もうおんぶなんて絶対しないからね」 「あれ?おねえちゃん、こなちゃんをおんぶして登校したいとか」 「つつつかさ、そういうことは言わないの…」 「ダイエット目的とか言ってたよね」 「そ、そそうよ。ダイエットの運動としてのおんぶなら、ちょうど、こなたくらいが……」 急に背中のこなたがずりおちる感触。 ドサリと何かが落ちる音がかがみの耳に入った。 「こなちゃん…!」つかさの叫び声。 かがみが後ろを振り返る。 地面にこなたがうつぶせになったまま動かなくなっていた。 青く長い髪が、夏の朝のまだ冷たいアスファルトの上に広がっていた。 ───目の前には「癌研有明病院」と書かれた、薄ピンクの病棟がそびえたっていた。 第2話:普通すぎる風景へ続く コメントフォーム 名前 コメント
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悪意は無かったし、ほんの出来心だった。そのときはお金が無くて、でもどうしても欲しいものがあった。 気がついたらそれはポケットの中に入っていて、何も考えずに店の外に出た。出てすぐのところで、店員に肩をつかまれた。 私は万引きをしてしまった。 お父さんと黒井先生が謝ってくれたし、初犯だからということで、警察には通報しないで済ませてくれた。 でも、今の社会では、隠したい情報を隠し通すというのは本当に難しいことだった。 いつの間にか、私が万引きしたことは、学校中の噂になっていた。 教室に入ると、騒がしかった室内が急に静まり返った。クラスメートの視線が一斉にこちらに向けられる。 にやにやと笑っている人や、汚いものでも見るような眼をしている人、興味津々と言う表情をしている人。 仕方ないよね。私は、万引きしたんだから。 先に学校に行っていたつかさとみゆきさんと目があった。手を上げて挨拶しようかと思うと、すぐに目をそむけて二人で会話をはじめた。 「泉って、万引きしたんだよな」 「ああ。しかも万引きしたものがアニソンなんだってよ」 「うわ、キモ」 「泉さん、万引きしたんだって」 「へー。もうこの年で犯罪者の仲間入りか~」 「犯罪者とは関わりたくないよね」 静まり返っていた教室がまた騒がしくなった。わざと私に聞こえるくらいの大声でしゃべっている。 「あ……」 机には、犯罪者、死ね、警察に捕まれ、死刑確定、キモい、私は犯罪者です、万引き犯は帰れと、黒マジックで落書きがされていた。 急いでハンカチでこするが、消えることは無かった。 いつの間に、私が万引きしたことが出回っていたのだろうか。もしかしたら、誰か学校の生徒が現場を見ていたのかもしれない。 授業が始まって、先生たちが私の机の前を通ったけど、みんな何も言わなかった。自分の学校の生徒が万引きをしたのだから、あまり表沙汰にはしたくないのだろう。 誰とも話さないまま、午前の授業は終わり、昼休みになった。 私は勇気を出してつかさたちに声をかけることにした。 「ねえ、つかさにみゆきさん。お昼一緒に食べよう」 私の声に気づいたクラスメートたちが、次々とこちらを見てくる。 つかさは周りの視線に戸惑っているようだ。 「あ、あの、こなちゃん。悪いけど、私、ゆきちゃんと中庭で食べるから。行こう、ゆきちゃん」 「え、ええ。行きましょうか」 二人は私を置き去りにしていってしまった。 仕方がない。犯罪者の私と関わってしまったら、二人も同類に扱われてしまうだろうから。つかさもみゆきさんも、悪くない。私が悪いだけだ。 「あれ、こなた、あんた一人なの?」 気がつくと、隣にかがみが立っていた。 周囲から、奇異の視線が向けられているが、平然としている。 「つかさとみゆきは何処に行ったの?」 「え、えと、二人で下でお弁当を食べてるよ」 「二人でって、こなたを置いてったわけ?」 「仕方ないよ。私、犯罪者だから、みんな私を避けてる。かがみも私と関わらないほうがいいよ。同じように見られちゃうから」 「何馬鹿なこと言ってるのよ。ほら、二人だけどお昼ご飯食べましょう」 「でも、それだとかがみが……」 「あ、こなた。これ食べる?」 「……うん、ありがとう、かがみ」 コメントフォーム 名前 コメント このままで終わる気か…?かがみの優しさは伝わるけど何か後味悪いッスよ(泣) -- 名無しさん (2013-02-15 15 08 05) うおおおおお!かがみーん!GJ! -- ぷにゃねこ (2013-02-07 19 00 35) かがみさすが! -- かがみんラブ (2012-09-24 06 10 49) 自分的にこの物語を書くとしたら みゆきさんは、犯罪者の友達ではないと言いきって つかさや他の人に接触してればいいな。 つかさはみゆきさんに「あんな犯罪者の味方するのはやめましょう」 って言われて、そうなるとか かがみんと作中には出てこないけど、ゆーちゃんだけが こなたの味方だったらもっといい物語になれそう -- 名無しさん (2010-03-01 17 25 59) 何が起きた…。 続編期待。 -- ミッキー (2010-02-14 20 57 20) これは放課後に、かがみがつかさとみゆきの態度に対してぶちぎれ、そして改心した二人も交えて明日から四人でまた食べるようになるパターンですね。 -- 名無しさん (2009-12-05 23 10 45) GJ でした かがみはいい弁護士になれるだろうね -- 名無しさん (2009-01-14 23 53 33) かがみのやさしさがわかるいい作品だと思います。 原作を見るかぎりだと 同じことが起こったら つかさは真っ先にこなたの所にいって一緒に泣いてくれるかな かがみは2~3発ぶん殴ってから叱り付けてからぐっと抱きしめて慰めるかな みゆきは普段と変わりなく接するかな と勝手に思ってしまった -- とおりすがり (2009-01-07 19 54 55)